自己破産について

自己破産について

どうしても返せない債務が大きく圧し掛かっているとき、最終手段の債務整理方法としてあるのが、自己破産です。
自己破産といえば借金をすべてゼロにできる方法として知られていますが、それにはいくつかクリアしなくてはならない条件があります。

 

≪自己破産とは≫

そもそも自己破産とは、いったいどのような状態になることを指すのでしょうか。
自己破産は、借金返済ができないということを裁判所が認め、残った財産を換価してすべての債権者に対して平等に弁済していくことを指します。

 

自己破産が認められれば確かに借金の返済義務はなくなりますが、持っている財産は処分してお金に換え、できるだけ債権者に返さなくてはいけません。
ただし、すべての財産が奪われてしまうわけでは無く、生活に必要なものは残しておくことが認められているので、大きく圧し掛かる債務をクリアして生活を再スタートさせるには最適な方法です。

 

≪自己破産できる状態とは≫

単に借金返済が辛いというだけでは自己破産できません。
自己破産が認められるには、裁判所から支払い不能だということが認められなくてはいけません。
目安としては、現在の債務総額を36ヶ月で割った金額が、収入から生活費を差し引いた金額の20倍以上である状態です。

 

≪自己破産のメリット・デメリット≫

自己破産のメリットは、何といっても毎月の支払い義務を無くすことができるという点です。
債権者からの取り立てももちろんストップできますし、かなり精神的に追い詰められた人は楽になるでしょう。

 

デメリットは、信用情報機関に長期間登録される、官報に載る、大きな財産は処分しなくてはいけないという点が挙げられます。
信用情報機関に登録されている間は、もちろん新規の借入は一切できません。
ただし、官報は一般の人が見るようなものではないので、親戚や勤め先、近所の人にばれてしまうなんてことはほぼありません。
間違ったデメリットの認識が自己破産の手続きを躊躇させている原因なので、借金で苦しんでいる人はまず正しい知識を身に付けるようにしましょう。

自己破産の手続きの流れ

借金で苦しむ人のための救済措置としてある自己破産ですが、どうやって手続きをしたらいいのか分らない人も多いでしょう。
ここでは簡単に、自己破産の手続きについて説明します。

 

≪地方裁判所へ書類提出≫

最初に行うのは、地方裁判所へ自己破産手続きに必要な書類を提出します。
必要な書類は、以下の通りです。

  • 破産申立書・免責申立書
  • 陳述書
  • 債権者一覧表
  • 資産目録
  • 家計の状況を記したもの(家計簿など)
  • 住民票、戸籍謄本
  • 給与明細書や源泉徴収票のコピー
  • 市民税・県民税課税証明書
  • 預金通帳、不動産登記簿謄本、車検証の写しなど

他にも財産を証明する書類など様々なものが必要になるので、詳細は管轄の地方裁判所にて確認しましょう。

 

≪書類提出後の流れ≫

地方裁判所へ自己破産に必要な書類を提出したら、約1~2ヶ月後に裁判所にて破産の審尋があります。
それから数日経ってから、破産の手続きが開始されます。
特に処分する財産がなければそのまま同時破産廃止、免責許可が決定してから債務の支払いがやっとで免除され、自己破産となります。
すべての流れが終わるまでは、最短で3ヶ月ほどかかります。

 

≪財産がある場合の自己破産≫

換価できる財産がある人の場合、破産手続開始決定がされた後に、破産管財人が選任されて官剤事件として手続きを進めていきます。
選任された破産管財人によって財産が管理され、処分されます。
それから債権者集会、債権確定して、総債権者に換価した財産を配当します。
その全てが終わって免責許可が下りれば、債務支払いが免除されます。

 

≪自己破産は自分でもできる≫

自己破産の手続きは、自分ですることも可能です。
しかし、実際には必要書類をすべて自分で作成して揃えるのは非常に大変なことですし、間違いがあれば訂正しなくてはならず、余計な時間が掛かってしまうこともあります。
早く手続きを完了させたり、面倒なことはしたくないという人は、やはり専門家に依頼した方が無難でしょう。

自己破産で制限されることと

自己破産すると支払い義務が無くなって生活がすべて楽になると安易に考えてしまいがちですが、楽なことばかりではありません。
借金が帳消しになる代わりに制限されることもあるので、手続きをする前には正しく理解する必要があります。

 

≪自己破産で処分されるもの≫

自己破産すると、所持している財産のうち換価できるものは債権者に配当しなくてはなりません。
換価とは、お金の価値に換えるということです。
ただし、すべての物を処分されてしまっては、破産者は生活を再スタートさせることはできません。
ですから、最低限の生活必需品は手元に残しておくことができます。

 

処分せずに済むものは、以下の通りです。

  • 99万円までの現金
  • 生活に欠かせない衣服、寝具、家具、台所用品、畳や建具など
  • 1ヶ月に必要な食糧や燃料
  • 仕事に必要な器具(農業なら農具など)
  • 20万円以下の資産価値のもの

他にも生活に必要なものと認められたものは、処分せずに済みます。

 

車や不動産は処分の対象になりますが、車の場合は例外になる場合もあります。
査定価格が20万円以下のものは処分の対象外なので、価値が低い車であれば残しておける可能性もあります。

 

≪自己破産で制限されること≫

自己破産したからといって、制限されることはそう多くありませんが、信用情報機関には約7年情報が保管されることになります。
そのため、新規のローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることは一切できません。

 

また、自己破産手続きが完了するまでは、制限されることが多いです。
処分する財産があって管財事件になる場合は、手続きの間中引越しも長期旅行も裁判所の許可が無くてはできません。
それに手続きを開始してから免責許可が下りるまでは、弁護士や税理士などの一定の職業について、資格制限があります。
免責許可が下りればその制限は無くなるものの、一定期間資格制限があることによって退職しなくてはいけない場合もあるので、注意が必要です。