個人再生について

債務整理と個人再生について

債務整理には、2001年から始まった個人再生という方法があります。
一体どのような人に適用される債務整理方法なのか、メリットや注意点などについて見ていきましょう。

 

≪個人再生とは?向いている人≫

個人再生は、任意整理では返済が難しいものの、何とか自己破産は避けたいという人のための救済措置として設けられました。
自宅を持っている人が自己破産してしまうとその家は処分しなくてはいけませんが、個人再生を用いると、処分せずに済みます。

 

個人再生が向いている人は、自宅を持っていて継続的に収入がある人です。
まったく債務が無くなるわけではないので、個人再生をした後に残った債務を返済していかなくてはなりません。

 

≪個人再生の種類≫

個人再生にも、2つの種類があります。

【小規模個人再生】

債務の総額が5,000万円未満で継続的な収入がある人に適用できます。
債権者の過半数の同意、さらにその同意した債権者から借り入れた額が債務総額の過半数を占めていることが条件です。

 

【給与所得者再生】

小規模個人再生の条件を満たしているものの、債権者の同意が得られない場合に用います。

 

≪個人再生の条件≫

誰でもマイホームは処分したくないに決まっていますが、だからといってすべてのケースに個人再生を用いるわけにはいきません。
住宅ローンは債務整理の対象外になるので、個人再生後にもずっと返済し続けなくてはいけません。
まずはその返済が可能なのかが重要です。

 

住宅ローン以外の債務も整理したからといってチャラになるわけではないので、残った債務を3年以内に返済できるかどうかがカギになります。
もし個人再生をしても完済ができないというなら、その場合は自己破産を考えなくてはいけないでしょう。

 

また、手続きが他の債務整理よりも複雑という点から、素人が自分でやろうとするにはかなりハードルが高いです。
そのため、弁護士などの専門家に依頼するのは必須でしょう。
手続きに掛かる費用がかなり高額なため、その費用をどうやって工面するのかも問題です。

個人再生の手続きの流れ

個人再生は債務整理の中でも少々難しい手続きですので、債務者本人が手続きをするのではなく、司法書士や弁護士に依頼するのが賢明でしょう。
ここでは、個人再生の手続きの流れについて解説します。

 

≪弁護士や司法書士に相談・個人再生を依頼≫

まずは債務整理について、弁護士や司法書士に相談することから始まります。
状況によって個人再生が適していることが分かれば、本格的に依頼を進めます。

 

依頼された側は、受任通知を債権者に送ります
この通知を受け取った債権者は、取り立てをすることができなくなります。
それから債権者に取引履歴の開示請求をします。

 

利息制限法を超える金利での貸付があれば引き直し計算を行い、過払い金があれば請求をします。
ここまでの流れを済ませたら、債務が確定します。
それから資産もしっかりと調査し、いよいよ個人再生の本格的な手続きが始まります。

 

≪申立書の作成から認可決定・返済開始へ≫

個人再生手続き開始の申し立てを作成したら、地方裁判所に書類を提出し、申立を行います。
申立てから1週間後ぐらいには、個人再生委員との面談があります。
面談の内容は借金をした理由、資産状況、返済計画についてなどです。
面談の結果、特に問題がなければ開始決定となります。

 

順調に行けば開始決定まで1ヶ月ぐらいで済みますが、それから薬2ヶ月後には再生計画案を裁判所に提出しなくてはなりません。
再生計画案とは、どれだけ債務を減らして返済していくかという計画のことです。
このような書類は、弁護士や司法書士が作成します。

 

再生計画案が認可されれば、いよいよ弁済が始まります。
個人再生計画案が認可されたからといって、安心してはいけません。
それから計画通りに返済できるかどうかが、とても大事だからです。
ちゃんと再生計画通りに返済を続けていれば、計画により減らされた債務の返済義務が免除され、個人再生が完了します。
しかし、万が一計画通りに返済ができなければ、残りの債務も免除されません。

個人再生に必要な書類と費用

個人再生はマイホームを処分せずに、債務を大幅ダウンできる可能性がある債務整理です。
個人再生の申立手続きをするには揃えなくてはいけない書類や費用がありますが、いったいどんなものを揃えないといけないのでしょうか?

 

≪個人再生申立てに必要な書類≫

申立て手続きに必要な書類は、その人の状況によっても多少異なります。
大まかにまとめると、以下のような書類が必要になります。

 

  • 戸籍謄本や住民票
  • 収入が証明できるもの
  • 債務が証明できるもの
  • 財産が証明できるもの
  • 家計簿
  • 預金通帳
  • 住宅ローン契約書と返済予定表
  • 保険証券や解約返戻金額証明書、解約書類

 

財産が証明できる書類とは、例えば車検証や不動産登記簿謄本などです。
他にも現在の経済状況を証明するためにあらゆる書類を揃えなくてはいけませんので、弁護士や司法書士に相談しながら揃えて下さい。

 

≪個人再生に掛かる費用≫

個人再生の手続きに掛かる費用の内訳は、以下の通りです。

  • 申立手数料
  • 予納金(裁判所に納める費用)
  • 郵便切手

申立手数料は印紙代で1万円、郵便切手代は債権者の数によって異なり、1,460円以上掛かります。

 

予納金は、個人再生委員が選任されるかどうかで、大きく変わってきます。
個人再生委員が選任されない場合は11,928円で済むのに対し、選任される場合は予納金だけで30万円以上掛かります。

 

手続きに掛かる費用は以上の通りですが、弁護士や司法書士に依頼する場合は、別の料金が掛かります。
弁護士や司法書士の報酬はそれぞれで設定が異なります。
手続き費用と報酬を含めた総額で請求するところもあれば、手付金に減額成功報酬、和解成立時の成功報酬など追加料金が発生するところもあります。

 

いずれにしても個人再生をするにはまとまったお金が必要になります。
法律事務所や司法書士事務所では個人再生に掛かる費用の支払い方法について相談にのっているので、専門家に依頼するときには分割払いの相談をするといいでしょう。